壁画から額縁の中へ表現の場所が移った16世紀。
同時に、もう一つの技術革新から与えた影響も見逃せません。
15世紀に発明されたグーテンベルクの印刷技術。
高価で製造が難しかった羊皮紙に代わって、
12世紀に中国から紙の製造技術が伝わってきた背景もあります。
印刷の発明をもって情報の伝達媒体として広く普及することになります。
印刷方法の勝手から、周囲に余白が生まれることが特徴的なグーテンベルクの印刷技術。
その余白こそ、今日のマットの原型です。
作品に直接触れない機能や、余韻を作品に与える効果としてより発展していきます。
また、当初は余白では簡素で物足りなく、装飾的なモチーフを加筆していたそうです。
現在でもその装飾は生き続け、フランス額装の伝統的な技法「ラビ」として確立します。
日本ではフレンチマットなどと呼ばれています。
こうしてフレスコ画や油絵でない、紙に描く素描や写本の挿絵、版画等において様々な表現が可能になり、
額装スタイルの隆盛に繋がります。
次回は「日本額装の歴史編」、乞うご期待!