立体額装とは、本来額装に向かない立体的な作品を額装、あるいは平面と立体を取り混ぜた作品群をまとめて額装することをいいます。
日本では古来、床の間に接客専用の空間としての機能を持たせ、すべての美術工芸品をこの床の間に集めてきました。しかも床の間と呼ぶ座敷は畳に座って利用することが普通ですので、立体作品は立ち居振る舞いの邪魔になります。これが、伝統的な彫塑作品が日本では寺院以外であまりみられないことからもわかるように、日本人が立体的なオブジェを好んで飾ってこなかった理由です。
それが今日の洋間の普及により、部屋ごとを、さまざまな装飾品でもって飾るようになってきました。洋間は目的的な空間であり、インテリアの要素が多く必要となるからです。
こうした流れから、日本でもそれまであまり馴染みのなかった立体額装が一般家庭にもお目見えするようになってきています。