の続きより、手がかりに挙げた「固定性」について、
『床の間のはなし』/鹿島出版会/1988年
を参考に、床の間の歴史・変遷を考えてみたいと思います。
本書によると、床の間の起源には
①仏壇起源説②上段起源説③中国源流説
とあり、決まった定説がないことを比較しながら検討しています。
また、床の間の出現が寝殿造にはなく、書院造にはある、住居形式の変遷にも着目しています。
「固定性」のヒントとしては、
寝殿造:がらんどうであるため、屛風、茵(しとね)、二階厨子(にかいずし)などを調達し生活していた。
↓ 応仁の乱以降、復興時に大きく変化があった。
書院造:諸室に分けられ、間仕切は襖障子。畳で敷き詰め、特に主室には床と違棚、書院、帳台構を造る。
つまり、住機能の変化や建築構造の発達などの諸要因によって、機能的かつ合理的な形式へ移行しています。
ここに「固定性」の出現が見て取れます。
本書では、「現代のトコノマとその行くえ」(1988年次)の章に、
床の間の機能として鑑賞と聖なる場所と前置きながら、
“単なるアルコーブ(凹部)であってよい。その部屋に秩序と、さらに希むならば、それが美しくあるとき、
立派にトコノマの機能を果たしているといってよかろう”
と締めくくっていることは、興味深い点です。
合理的な結果から進化したはずの床の間が、なぜ解体され、言わば寝殿造のようなワンルーム空間が好まれだしたのか。
次ブログでは、現代のパーソナル化傾向を私見を交えながら考えてみたいと思います。
●「床の間」について考える3へ続く