2018.08.10
清華堂のふるまい学
「床の間」について考える2

「床の間」について考える1

の続きより、手がかりに挙げた「固定性」について、

『床の間のはなし』/鹿島出版会/1988年

を参考に、床の間の歴史・変遷を考えてみたいと思います。

 本書によると、床の間の起源には

①仏壇起源説②上段起源説③中国源流説

とあり、決まった定説がないことを比較しながら検討しています。

また、床の間の出現が寝殿造にはなく、書院造にはある、住居形式の変遷にも着目しています。

「固定性」のヒントとしては、

寝殿造:がらんどうであるため、屛風、茵(しとね)、二階厨子(にかいずし)などを調達し生活していた。

↓ 応仁の乱以降、復興時に大きく変化があった。

書院造:諸室に分けられ、間仕切は襖障子。畳で敷き詰め、特に主室には床と違棚、書院、帳台構を造る。

つまり、住機能の変化や建築構造の発達などの諸要因によって、機能的かつ合理的な形式へ移行しています。 

ここに「固定性」の出現が見て取れます。

本書では、「現代のトコノマとその行くえ」(1988年次)の章に、

床の間の機能として鑑賞と聖なる場所と前置きながら、

“単なるアルコーブ(凹部)であってよい。その部屋に秩序と、さらに希むならば、それが美しくあるとき、

立派にトコノマの機能を果たしているといってよかろう”

と締めくくっていることは、興味深い点です。

合理的な結果から進化したはずの床の間が、なぜ解体され、言わば寝殿造のようなワンルーム空間が好まれだしたのか。

次ブログでは、現代のパーソナル化傾向を私見を交えながら考えてみたいと思います。

●「床の間」について考える3へ続く