写真は、ルーブル美術館にある『ナポレオン1世の戴冠式』。
実はアート史上、大きな変遷を感じさせるポイントがこの写真にあります。
それは西洋のアートが、壁画から「移動可能」の額縁の中に描くことが主流になったこと。
さらには、板絵からキャンバス画に変わったこと。
時代は17世紀。ルネサンスを経て、描く対象が宗教画以外にも広まりました。
ナポレオン1世は権力をアートの力によって誇示します。
持ち運びが容易なキャンバス画を、東インド会社のネットワークを使って拡散。
ナポレオンの知名度を圧倒的な量によって我が物としました。
この政治的な後押しもあり、バロック時代(ルイ14世様式)からロココ時代(ルイ15世様式)にかけて
額縁の表現、意匠も多種多様な発展を遂げます。特に、フランスにおいて額縁は一つの完成に近づきました。
宮廷文化の隆盛もあいまって、インテリアとの調和を重視されていたのが特徴的です。
西洋額装が壁画から出発したこと。これは、日本とは違うルーツがあります。
立脚点の違いによって、暮らしの中のアートの飾り方は全く変わってきます。
【日本額装の歴史編】は、またのちのブログでお伝えしたいと思いますが、
アートを考えるきっかけになればと幸いです。