2018.02.27
清華堂のしきたり学
「アートスケール」

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このメジャー、少し変わった表記をしています。
実は額装用のメジャー、その名も「アートスケール」
F(人物)、P(風景)、M(海景)といった絵の内容にあった、プロポーションが規格化されています。
例えば100号サイズのP、50号サイズのMなど
フランスで体系された寸法体ですので、写真左にはフランス寸法と書かれています。
もう一つ、額装用の寸法で日本寸法というものがあります。(アートスケール裏側には日本寸法が表示されています。)
明治時代に日本がフランス寸法に合わせて定めた経緯があります。
というのも、その時代に洋額装が西洋から盛んに伝わったこと。また、それまで日本は尺寸法で規格化されていたこと。
つまり、尺寸法に近いフランス寸法をあてがったものが日本寸法です。
「アートスケール」は岡村多聞堂という東京の額装屋さんですが、その初代社長が額装会の会長となり、この寸法化に尽力されたそうです。

寸法体系を決めることは絵の内容を左右する大きな出来事だと思います。
「尺貫法は人のスケールに合わせたものだから、M法よりも使いやすい、人に馴染みやすい」と一見聞こえよいフレーズも、
1929年以降に今の1尺=303mmに落ち着き、それまでの1尺は時代ごとに変わってきたことを思うと、その絶対感が揺らいでいくるように感じます。
ただ、オリジナルな寸法ルールをむやみに開発する必要はありませんが、内容に合ったモジュールを定めそれを共有する楽しみ・歓びは計り知れません。
清華堂も「表具スケール」や「美術表装スケール」のような埋もれた寸法体系をまとめると面白いなあとも感じています。